2021.03.30
コロニアル屋根の修理方法と費用相場は?葺き替えのポイントと安く済ませる方法も解説!
- 屋根点検

コロニアル屋根は、日本の古くからの建屋に用いられる瓦屋根と違って、フラットでスレート材と呼ばれている薄い板状の屋根材の1種となります。
最近では、コロニアル屋根の需要が高まっており、一般住宅ではスタンダードな屋根として用いられることが多いです。
そのコロニアル屋根は、良い面もあれば若干劣る面もあるのが実情です。
では、コロニアル屋根にはどんな特徴がある屋根なのでしょうか?
この記事では、コロニアル屋根の特徴や、修理する場合の方法などについて解説します。
目次
コロニアル屋根の概要
コロニアル屋根とは、正式名称はコロニアルクァッドいう商品名で、ケイミュー株式会社が販売しているスレートとなります。
かつては、スレート瓦と呼ばれるセメントや粘土などを基材にした瓦が主流でした。
コロニアルは薄い板のスレート瓦に分類されており、薄型スレート瓦とも呼ばれることが多いです。
一方で、厚いスレート瓦のことを厚型スレート瓦と呼び、代表的な商品としてルーガが存在します。
スレート瓦の歴史はとても古いのですが、昔は主成分がアスベストを用いていたため、石綿スレート瓦とも呼ばれていたのです。
スレート瓦といえばアスベストのイメージが定着したのですが、現在では健康被害があることからアスベストの使用は禁止されています。
このスレートというネーミング自体にネガティブなイメージがつきまとっていたのは事実であり、スレート瓦の呼び名としてはカラーベストやコロニアルに置き換わっているのです。
これが、カラーベストシリーズの起源です。
カラーベストシリーズとしては品質や形状によって複数の商品が存在しますが、カラーベストの一つがコロニアルというブランド名となっています。
1.スレート屋根とは違う?
先に紹介したとおり、コロニアルだけでなくスレート、カラーベストなどの呼び名がありますが、商品名などの違いというだけで、同一のものなのです。
基本となるのはスレートであり、セメントと繊維を混合して板状にした屋根材を指す一般的なネーミングとなります。
カラーベストとしては、主に以下の4種類があります。
- プレミアムグラッサ:特殊コーティングが施されている最高級スレート
- グランデグラッサ:着色した彩石を散りばめられた木目調のナチュラルなスレート
- 遮熱グラッサ:太陽の熱を反射する遮熱加工が施されたスレート
- コロニアルクァッド:シンプルな平板化粧スレート
以上のことから、スレート屋根という大きなカテゴリーの中の一つが、コロニアル屋根ということになります。
2.コロニアル屋根のメリット
コロニアル屋根のメリットとしては、価格の安さと高い耐震性、デザイン性の良さが挙げられます。
他の代表的な屋根材と比較しても価格が安価で、瓦屋根と比較しても料金は半分程度という低コストさが魅力的です。
少しでも安く建築したい際には、最適な選択肢となることは間違いありません。
安価であっても、定期的なメンテナンスさえ欠かさず行えば、最長30年程度の耐用年数があるために、コストパフォーマンスに優れています。
また、コロニアル屋根は軽く薄い材質で作られているという特徴があり、屋根が家全体にかける重量の割合が低く、地震が発生した際の揺れを軽減する事が可能で、倒壊するリスクも大きく減少させることができるのです。
日本は、世界的に見ても地震が多い国で有名ですが、その点でも安全性を確保する意味でもおすすめの屋根と言えます。
他にも、安価であると見た目が損なわれるということも懸念されますが、現代の頃にある屋根はカラーバリエーションが豊富です。
よって、外壁の色やデザインにマッチさせた屋根の色を選びやすいという特徴があり、和風洋風問わずオシャレな屋根にすることが可能です。
3.コロニアル屋根のデメリット
メリットの多いコロニアル屋根ですが、導入に向けてデメリットもあります。
一番のデメリットとなるのが、耐久性が低いという点があります。
高い耐震性がある反面、衝撃に弱くすぐに破れてしまうのです。
破損が発生した箇所には、雨が入り込んでしまい、屋根が色褪せたり苔、藻、カビが発生して屋根全体の劣化を招きます。
定期的な補修などが必要になるのですが、目安として10年に1度はメンテナンスを行う必要があります。
ランニングコストを考えると少々高めになり、またメンテナンスの手間もかかります。
コロニアル屋根は、屋根材そのものでは完璧に雨水の侵入をカットすることができません。
そこで、防水シートと呼ばれる水を通さないシートを使用します。
アスファルトルーフィングやルーフィングなどとも呼ばれていますが、耐久年数は20年程度となっており、屋根材と同時に定期的な点検などが必要です。
他にも、比較的ビビ割れしやすいので、物理的な衝撃が加わらなくても徐々にヒビ割れが進行していきます。
現行販売されている屋根材では問題ありませんが、2004年以前のコロニアル屋根にはアスベストが含有している可能性があるという点も、懸念されています。
4.コロニアル屋根の耐用年数
コロニアル屋根の耐用年数と、他の屋根材との対応年数を比較すると、以下のようになります。
屋根材 | 耐用年数 | メンテナンス目安 |
---|---|---|
瓦屋根 | 50〜100年 | 20〜30年 |
金属屋根 | 25年〜35年 | 15年〜25年 |
コロニアル屋根 | 20〜30年 | 10年 |
メンテナンス回数は、他の屋根と比較すると若干多めに確保しなければなりません。
ただ、ガルバリウム鋼板の屋根と比較すると、耐用年数は長いという特徴があります。
コロニアル屋根の屋根材の耐久年数を伸ばすためには、メンテナンスは欠かせません。
同時に、先に解説したとおり防水シートの耐久年数も考えなければなりません。
防水シートの耐久年数は最長でも20年で、短いと13年で寿命を迎えます。
単純に、コロニアル屋根の耐用年数よりも短いということになるために、表面上では問題ない場合でも、内部では劣化が進行している可能性もあるのです。
よって、防水シートの耐用年数に合わせて、10年程度で一度点検することをおすすめします。
コロニアル屋根によくある損傷
コロニアル屋根は、耐久性としては若干劣るのは事実です。
また、物理的なダメージにも弱い傾向があるのですが、具体的にどのような破損が想定されるのでしょうか?
ここでは、よくある破損例を紹介します。
1.色あせ
一般的には、コロニアル屋根の場合は外壁部分などと比較して、非常に多くの紫外線を浴びる傾向があります。
イメージとしては3割ほど早く退色や変色しやすくなっており、コロニアル屋根の退色と変色は塗膜の劣化の中で最も早く訪れるのです。
コロニアル屋根には、塗装が施されており防水性を高めたり見た目を良くする、そして紫外線から保護する役割を果たしています。
その塗装が剥がれると、防水性が低下して水分を好む苔や藻、カビが発生してしまうのです。
2.ひび割れ
コロニアル屋根では、定期的なメンテナンスを依頼すると、9割以上の建物において数枚は割れていると言われています。
なぜ割れてしまうのかというと、長押しの押さえ釘を打ち込むことによって発生することが想定されます。
新築時からすでに割れており、下穴を開けずに釘を打ち込む事によって割れるのです。
他にも、 水切りなどの役物付近は屋根材が数ミリ押し上げられており、浮いた状態になります。
そのような屋根材に、不用意に乗ることによって割れてしまうのです。
例えば、アンテナ工事などで割ってしまうことが多い傾向にあります。
その他、日光、雨、温度変化などの気象から受ける過酷な環境によって割れるケースもあります。
夏は、屋根表面の温度が70℃近くにまで上昇しますので、熱ストレスがかかる状態です。
そのような状況下で、雨が降ればスレートも含水して晴れれば乾燥するという状況が繰り返されます。
逆に、冬は含水した水分が凍結するのですが、水は凍ると体積が増加するためにスレートの内部で圧着されていた成分同士の間に隙間が生じます。
この状況が繰り返されることで、成分同士の間に隙間が大きくなり、最終的には割れてしまいます。
3.クギ抜け
築10年程度経過すると、大抵の住居で屋根を固定する釘が抜ける傾向があるのです。
このことを、一般的にはクギ抜けと呼ばれています。
釘が抜ける原因は、屋根材の熱膨張にあります。
熱膨張とは、金属が熱で温められた時に膨張が起きる現象となります。
通常、棟板金は金属であるために、日に当たると太陽の熱で膨張して夜気温が下がると収縮することを繰り返します。
膨張する際は釘も一緒に引っ張られるのですが、収縮する際は板金だけが収縮して長い間膨張と収縮を繰り返すことによって、徐々に釘が抜けてくるのです。
日当たりの良い住居の場合は、釘が抜けるスピードも促進されるために、築7年が経過したあたりから徐々にクギ抜けが目立ってきます。
クギ抜けが発生すると、内部に雨が侵入してしまうために、屋根全体の劣化を招きます。
コロニアル屋根の修理方法とそれぞれの費用
コロニアル屋根の修理方法には、いくつもの種類があります。
また、それぞれに費用が異なりますので、費用面も考慮してどの修理方法が最適であるかを確認する必要があるのです。
主な修理方法と、費用については以下のようになっています。
修理方法 | 費用 |
---|---|
塗装 | 25〜40万/50〜80㎡ |
葺き替え | 120〜200万 |
カバー工法 | 60〜150万 |
1.塗装
コロニアル屋根は、初期的な段階で塗装を行っていますが、徐々に劣化して塗装がはがれてしまいます。
そこで、10年を目安として塗装し直すという事が重要です。
塗装は、まずは高圧洗浄によって表面に付着した苔やカビ、塗膜などをしっかりと剥がします。
その上で、ケレンと呼ばれる棟板金のサビや汚れを落とすことを目的として、サンドペーパーなどを使用して汚れを落としていきます。
次に、すでにビビ割れなどが発生している場合は補修して下地処理を施します。
そして、棟板金部分に錆止めの塗料を塗布、コロニアル部分にはコロニアルに適した下塗り剤を塗布していきます。
下塗り材が乾いたら、中塗りと上塗りを鉾して完成させます。
最後に、縁切りを行えば完成です。
費用としては、一般的な二階建て住宅で、屋根塗面積50~80㎡程度の場合で25~40万円が相場となっています。
2.葺き替え
コロニアル屋根から他の屋根材に葺き替えるという方法もあります。
逆に、他の屋根材からコロニアル屋根への葺き替えということも可能です。
コロニアル屋根に葺き替えで可能な、既存の屋根としては瓦屋根とコロニアル屋根の2つです。
葺き替えの場合は、まずは既存屋根材の撤去からスタートします。
その後、新たにコロニアル屋根とする場合は野地板を設置して、その後防水シートをセットしていきます。
そして、最後に新しい屋根材を設置すると完了です。
新たに他の屋根材からコロニアル屋根に葺き替える場合、屋根材の下に敷く野地板を新たに設置しなければならないために、費用面としては高くなりがちです。
野地板を再利用することで、スレートに善神が生じたり剥がれてしまうので、古い野地板の上にスレートを張ることはメーカーが禁止ししています。
気になる費用は、一般的な30坪住宅の場合で120~200万円程度かかります。
3.カバー工法
カバー工法とは、既存スレートに対して新しい屋根材を被せるという手法です。
修理としては、比較的多く用いられている方法となっています。
葺き替えのように、既存屋根材の撤去や産廃処理費用をカットできるので、コスト的にも安価となります。
また、カバー材はスレート以外でもよいために、最近では軽量なガルバリウム鋼板を選ぶケースも多いです。
ただし、劣化が進んだコロニアル屋根の場合は、カバー工法は採用できず葺き替えなければなりません。
また、野地板が傷んでいる場合も耐久性と安全性の面からカバー工法は推奨されていません。
具体的な費用としては、1㎡あたり1万円と足場代20万円程度の費用が相場です。
一般的な30坪住宅の場合でいえば、60万円程度で施工できます。
コロニアル屋根を葺き替えるときのポイント
コロニアル屋根に実際に葺き替えるとなった場合には、ポイントを押さえておく必要があります。
具体的には、以下のポイントを意識して施工を行いましょう。
1.葺き替える前に確認しておくべきこと
コロニアル屋根の葺き替えを行う前には、コロニアルの使用年数と塗装した回数、家のデザインと屋根の形状を確認してください。
使用年数と塗装した回数とは、建築年数とその後のメンテナンス回数という意味です。
一般的に、再塗装を繰り返すことで徐々に塗装の効果が薄れていき、徐々に劣化が進行していきます。
よって、いくら定期的なメンテナンスを行っているとしても、どこかで葺き替えしなければなりません。
逆に、まだ1回しか再塗装していないのに葺き替えるのは少々もったいないものです。
過去のメンテナンス記録も加味して、葺き替えのタイミングを測るのがベターです。
また、家のデザインや形状なども加味して、最適な屋根材を選んでいきます。
2.屋根材別の工事費用と耐久年数
屋根材によって、工事費用と耐久年数は大きく変動します。
主な屋根材別の工事費用と耐久年数は、以下のとおりです。
屋根材 | 施工費用 | 耐久年数 |
---|---|---|
セメント瓦 | 5,000~10,000円 | 30年~40年 |
和瓦 | 20,000~40,000円 | 50~100年 |
スレート | 5,000~7,000円 | 15年~25年 |
ガルバリウム鋼板 | 6,500~8,000円 | 20年~30年 |
メンテナンスのスパンも考慮して、最適な屋根材を選択するようにしましょう。
3.葺き替えにおすすめの屋根材
葺き替えにおすすめできる屋根材としては、ガルバリウム鋼板があります。
従来のトタンの弱点であった錆びやすさが解消されて、20年~30年以上の長期にわたって高い防水性を発揮する、優秀な金属屋根材です。
同時に価格もお手頃である点が評価されています。
次におすすめなのが、和瓦です。
日本の建屋としては昔から用いられている屋根材で、耐用年数が非常に高くて再塗装が不要、さらに遮音性と断熱性が高いという特徴があります。
また、一度取り外しても再利用が可能という点も評価されています。
火災保険を使えば安く修理ができる
もし屋根の修理を行う場合は、火災保険が適用できれば適用することで、安く修理を行うことが可能です。
ただ、火災保険に加入していれば誰でも保険が適用できるわけではありません。
コロニアルの損傷が、台風や竜巻、豪雨や大雪などといった自然災害によるものである場合は、火災保険で修理費を補償できる可能性があるのです。
火災保険と聞くと火事の時に使うものと思われがちですが、実は自然災害による被害でも使うことができる保険が多いのです。
もし加入しているのであれば、加入している保険が対応可能なら使うようにしましょう。
1.経年劣化は補償の対象外
火災保険による屋根の修理については、経年劣化によって発生した損傷は補償外になります。
ただ、経年劣化と自然災害によって発生したかについて、一般の方が判断するのはまず困難です。
もし心当たりがあれば、専門業者にその原因を確認してもらうことをおすすめします。
また、依頼する業者も保険申請の実績が豊富なところを選ぶと良いでしょう。
2.支払いは審査が通ってから
保険を利用して修理を行う業者には、保険会社の審査が終わる前であっても必ず申請は通ると持ちかけて、手付金の入金や着工を要求することがあります。
もし手付金を提供したり工事をスタートさせると、職人や材料を手配してしまいます。
万一、審査が通らなかった場合はこれらの費用については全額自己負担になってしまう可能性があるのです。
審査に絶対はなく、審査が通過する前に入金などを求めてくるのは業者側の都合でしかありません。
必ず依頼をする前に条件を確認して、保険会社の審査を通過した後での代金の支払いや着工できる業者を選択してください。
コロニアル屋根にはアスベストが含まれている可能性も!
コロニアル屋根には、アスベストが含有している可能性があると説明しましたが、現在製造されているものにはもちろん含まれておらず、安心です。
石綿を1%以上含まれている製品の出荷が原則禁止なったのは2004年のことです。
これ以降はアスベスト含有の建材が流通することはほぼ皆無となっています。
どうしても不安な場合は、メーカーや品番から国土交通省のホームページなどで検索し、アスベスト含有の有無を確認可能です。
また、2004年以前に製造されたスレートであっても、切断や粉砕をしない限りは危険性はとても低い状況です。
まとめ:コロニアル屋根の修理方法は3通り
コロニアル屋根を修理したい場合、修理方法としては塗装と葺き替え、カバー工法の3つがあります。
それぞれにメリットとデメリットがありますので、十分考慮して最適な方法を採用するのがおすすめです。
もし破損が見られる場合は、屋根全体の劣化が進行する可能性が高いので、早急に補修するようにしましょう。
ヤネラボではコロニアル屋根の修理も受け付けています。
ドローンを使った安心・安全な点検を行っているので、まずは一度お問い合わせください。